ビジネスレター讲座
ビジネスレター講座
 
はじめに
 
ラブレターとビジネスレターはどちらも自分の思いを相手に伝える点では同じですし例文が世の中に豊富なのも同じです。伝える内容と相手がちがうだけでこうも受ける印象の異なるものになります。長年にわたって多くの人が事あるごとにしたためてきたので世の中に溢れているわけです。近くの本屋に行けば手引書を買い求めることができます。手引書の例文のなかから適当なものをピックアップして語句を修正すればそこそこの文章は書くことができます。近年のコンピュータと通信の進歩には目を見張るものであります。かなりのビジネスレターが電子メールとしてやり取りされていると思われます。ホームページでの自社や製品の紹介も立派なビジネスメールの一つの形態です。このように企業活動が激変する中ではビジネスメールも激しい変化の中に身を置かざるをえません。
 
正確なビジネスレターは誰でも書けます。そのためには文形の基本をマスターする必要があります。ビジネスレターの文章で目立つことはありません。必要な事項をたんたんと書けばよいのです。それでも書き手は生身の人間です。知らず知らずに自分の感情が文章にもぐりこんでしまったり、文脈がつながらなくなったりする事があります。あらかじめ用途に応じた標準文型を用意しておくことが大切です。ビジネスレターには書かなければいけないことがあります。必要事項を書き落としてしまえばビジネスレターとしての価値がなくなりますし、間違えた内容を書いてしまえば会社に損害を与えることになります。厳しい減点主義の世界です。
 
ビジネスレターをすいすいと書きたければビジネスレターの参考書を手に入れてください。しかし、ワープロソフトも検討する価値はあります。ワープロソフトにはビジネスレターの例文がついてきます。たとえばマイクロソフト社の製品、Officec:\Program Files\Microsoft Office\Templates\1041というフォルダには200以上の例文が収められて
います。すでにコンピュータに記録されているのですからキーボードからあらためて入力しなおす必要はありません。最新のワープロソフトには文章のチェックや語句の説明などなかなか便利な機能がついてきます。ワープロソフトで入力したかな文字を漢字に変換する際に「韓国」ではなく「勧告」に変換されたのに気づかない変換ミスがときどき起こります。読み手も慣れていての中で無意識に再変換してくれますので実害はないといえますが、決して誉められたことではありません。また、漢字を使いすぎがちになるのもワープロソフト使用の弊害の一つです。私を含めて漢字を自分で正確に書けなくなった人が増えているのも気になることです。このようにワープロソフトには光の部分だけでなく影の部分もありますが、それでも私がここで皆さんにお勧めしたいのは「日本企業とビジネスするなら日本語版ワープロソフトを使おう」です。
 
ビジネスレターには一定の形式があります。どのようなブロックをどのような順番で並べるかが決まっています。それぞれのブロックの書き方も決まっています。つまり前付け、件名、語+挨拶、主文、結語の順に五つの機能ブロックを配置します。そして用件の部
分だけは用途別になります。各ブロックの書き出しを見れば、どのブロックであるかもわかりますし、慣れてくれば挨拶の部分などはブロック全体に書かれていることをそらんじることすらできるでしょう。ビジネスレターはこれほど形式が決まっているマンネリの世界です。マンネリの世界では相手に安心感を与えることができますし、適当な手引書さえあればあなたでも一定レベルのビジネスレターが書けるようになります。ビジネスレターを恐れることはありません。相手を知ればよいだけです。
この講座ではビジネスレターのブロック構成、各ブロックの書き方の概略を最初に学習します。次に機能別と用途別の例文を業務の流れに沿う形で提供します。皆さんがビジネスレターを書くのが好きになること、これが私の希望です。
それではビジネスレターはどのように組み立てられているのでしょうか?
 
 上図のようにビジネスレターは前付け、件名、語+挨拶、主文、結語の順に六つの機能ブロックで構成されます。各機能ブロックの典型的な書き出しは下表のとおりです。
 
 
ビジネスレターは封筒に収めた書状が一般的な形式で、本体の書面は横書きが一般的です。特に形式を重んじる挨拶状や、礼状、見舞い状、お悔やみ文等では縦書きを使用することが多く、このような場合は件名を省略します。筆書きを模した字体・フォントを使うことも多いようです。はがきなどでの挨拶状は今でも縦書きが一般的ですが、筆による縦書きからワープロによる横書きが歴史の流れです。
日本語には尊敬語、謙譲語や丁寧語等の敬語があることはご存知だと思います。韓国語と同じです。外国人が日本語や韓国語を学習するときに苦労する点です。しかし日本人でもなれないうちは苦労します。若い人が苦労するのは最近だけのことではありません。30年以上も前に官庁に入ることが決まった大学時代の先輩が急に敬語の練習をし始め、敬語の練習台にされた周囲の人々が大いに戸惑っていたことを思い出しました。それほどに敬語は習熟が難しいものです。
しかし、ビジネスレターで難しいのは相手に対してどこまで丁寧な言葉遣いをするかでしょう。いくらビジネスは対等だからといっても、ビジネスレターで対等な物言いはしません。たとえ訴訟などの争いごとになっても相手を罵倒することはありません。常に自分をワンランク低い立場に置くと考えてください。しかし、丁寧すぎると相手に卑屈な印象を与えかねません。堂々としているが丁寧な文章、これが理想です。
ビジネスレターでは簡潔な文章を心がけてください。長すぎる文章は誤解のもとです。書いた文章を自分で読み返して読みやすい文章を心がけてください。慣れないうちは声に出すのも一つの方法です。息が続かなくなったら文章が長すぎです。意味が通らないときに
は語句を替えたり順序を入れ替えたりしますが、句点「。」で文章を二つに分割するとすっきりする場合が多いようです。どこに置いて良いかわからない語句は省略してみましょう。重要な語句であればおのずから納まる場所は決まっているはずです。
「お願い申しあげる次第でございます」、「お願い申し上げます」、「お願いいたします」はどれも丁寧な文章です。文例では「お願い申し上げます」に準じた中間程度の丁寧さになるよう心がけましたが、依頼文などでは「お願い申しあげる次第でございます」を使用しています。自分の会社を「当社」、「弊社」、「小社」等と呼びますが特にへりくだることなく「当社」を使用してよいと思います。
年号は西暦を使用します。外国からのビジネスレターで和暦の「平成」を特に使用する必要はありません。奇異に感じる相手もいるでしょう。元号から西暦が時代の流れです。ちなみに私は西暦と和暦の置き換えに1945年が昭和20年になることを基準に使っていました。今年、2000年は平成12年になります。
この口座で使用する例文はできるだけ具体的な内容を心がけました。皆さんの実際例に応じて語句を入れ替えてください。入れ替え落ちがないように入れ替えが必要な語句はかぎ
括弧でくくったり、何文字かのxで表現しました。ということで書きあがったビジネスレターはかぎ括弧とxに特に注意してチェックしてください。
それではビジネスレターの最初の例文を紹介しましょう。ヒットしている製品シリーズに新機種を加えたことをお客様へ紹介しています。
 
例文-1 新製品の売込
 
NO.xx-xxx-xxx
xxxx年xx月xx日
xxx株式会社
xx部 xx xx 様
xxx株式会社
xx部 xx xx ㊞
 
xxxシリーズ新機種のご紹介について
 
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、この度ご紹介させていただきますxxxシリーズは、汎用性の高いxxx機器として繊維業界を中心に数多くの納入実績を持つ当社屈指のヒット商品でございます。最近では新製品の市場投入サイクル短縮化を可能にする機器としてご採用いただく事例が多くなってまいりました。このようなお客様のニーズに幅広くお答えするため、低価格機種と高機能機種をシリーズに加えましたのでご紹介させていただきます。
導入提案書を同封いたしましたので、ご多忙のところ恐縮ですがご一読いただき、お問い
合わせなど頂けましたら幸に存じます。
敬具
 
 いかがですか?とても簡単でしょう?どの部分がどの機能ブロックになるのかわかりましたか?前付けが「NO.」で始まる6行、件名が「xxxシリーズ新機種のご紹介について」の1行、語+挨拶が「拝啓 貴社ますます」で始まる1行、主文が「さて、この度」で始まる5行、末文が「導入提案書を」で始まる2行、結語が「敬具」の1行です。
 各行が置かれている横方向の位置は大切ですので注意してください。左寄せ、一文字の空白つきの左寄せ、中央揃え、複数行が同位置から始まる右寄せ、右寄せです。
それではビジネスレターの各ブロックについて簡単に説明しましょう。
 
 あて先は役職名に氏名を続けて「様」を付けます。宛先の担当者の氏名は大切です。相
手からのビジネスレター、名刺、会社名鑑などから情報収集します。氏名がわからないときは役職名に「殿」を付けます。
漢字の多さに悲鳴をあげている日本人から見ると、外国で漢字を使っていないのが羨ましくもなりますが、不便なこともあるのではないかと他人事ながら心配になることがあります。中国の康煕字典を例に引くまでもありませんが、漢字の多いこと、まさに夜空の星のごとしです。現在の日本では簡単な字体の漢字を使用しています。使える漢字も小中学校で教える教育漢字、一般的に使用されている当用漢字が普通です。さらに名前に使用できる漢字が追加されています。子供が生まれると出生届に名前を書いて届けますが、教育漢字、当用漢字、名前用に認められた漢字を組み合わせになります。
若い人の名前には古い字体や特殊な漢字はありませんが、先祖から受け継いだ姓は別です。一時は古い字体を見ることが少なかったように思いますが、最近は戸籍にある正式な字体を使う人が増えたようです。おなじ小沢さんでも小澤という古い字体を使用している場合がありますので注意してください。「沢」と「澤」はワープロソフトでは別の漢字コードをもつ二種類の漢字です。「わたなべ」さんは「渡辺」、「渡部」、「渡邊」、「渡
邉」となります。ワープソフトで変換できない漢字、つまり漢字コード表にない漢字はその文字だけを手書きにしても失礼になりません。正式の漢字がないことを相手の方はとうにご存知です。
語と結語は一定の対応関係があります。ほとんどの場合は拝啓―>敬具です。通常の返信につかう拝復―>敬具、親しい相手に対していきなり用件に入るときの前略クルマレテ―>早々程度を知っていれば十分です。
挨拶はいろいろあるように見えますが、表現方法が違うだけで内容のバラエティーの少ないものです。相手の商売繁盛を喜び、場合によっては自社に対する愛顧を感謝する言葉を続けます。時候の挨拶から始めることもありますが日本と外国では気候が違いますので、相手に違和感を与えないように省略してしまうのも一つの方法です。例文では「拝啓 貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」を使いました。自由にほかの挨拶で置き換えてください。一部の例文では「拝啓」が「拝復」になったり、「前略」で省略されたりしています。自由に置き換えてくださいと言いましたが定石がありますので簡単に説明しておきます。
まず、相手の商売繁盛を喜ぶ部分を式の形で表すと、
 
貴社/御社[には/におかれましては]ますます/いよいよご清栄/ご隆盛
のこととお喜び申し上げます/拝察いたします
 
となります。/の前後の語句の一つを選びながら連結していきます。[と]で囲った語句は省略可能です。ご自分でいろいろと試してみてください。私が例文で使った「拝啓 貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」は簡単に復元できたと思います。時間がある方は何種類が合成できるか考えてみてください。次に、自社に対する愛顧を感謝する部分は同様に、

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